こんな論争が今展開されているようだが・・・
・共産主義とは何か?
・全体主義とは何か?
の定義によってなんとでもいえる話だ。
ハイエクは『隷従への道』で「共産主義とナチズムは全体主義である点において同根」と指摘した。彼によれば、福祉国家、ケインズ主義であっても全体主義への傾向性があるという。民主主義は全体主義への歯止めにならないどころか、その原動力にさえなる。
全体主義とは個人主義の対語だ。個人の価値よりも全体の価値を優先する。個人の尊重とは違う。個人の尊重を何よりも重視した小泉信三の思想には社会主義的傾向があった。
福祉国家とセーフティーネットの違い。これがハイエクの思想を解く鍵だ。個人の価値とは個人の多様性を認めることだが、ある価値観を押し付けることでは決してない。特定の価値を前提にしないことこそが個人主義だ。それが理解できないと全体主義と個人主義とが混乱されてしまう。
重要なことは繰り返そう。民主主義は全体主義と個人主義とを分ける基準にはならない。