成城大学2021年度前期・法学部「法政策学」のページ

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このページに授業に関連するさまざまな情報を載せていきます。時間がある人は私のコラムのページ、あるいは独り言のページを訪問して見てください。

1 ルールの遵守とルールの設計
「政策」とは、簡単にいえば、ある目標を効果的に実現するための手立てを政治的意思決定を通じて行うこと、といえるでしょうか。Wikiには「政策(せいさく)とは現代社会においては、政府や政党などが施政上の方針や方策を指すこと」なんて書かれています(wikiで「政策」と検索してみてください)。これをルール(立法)の設計として、あるいはルールの運用として(場合によってはルールの解釈として)、対応しようとする営みが「法政策」であり、それを「学問すること」が「法政策学」ということになります。なので、扱うテーマもアプローチも多種多様です。みなさんが勉強している「法解釈学」だって、ある目標の実現のために・・・という視点が入り込んだら、もうそれは「法政策学」ということになります。例えば、民法の議論で「取引の円滑のために」「弱者の救済のために」という「ために」が出てくれば、その解釈が説得的かは別にして、視点としては政策的なのです。又、憲法でも人権と公共の福祉の衝突はいつもの話ですが、全体の利益のために個人の人権がどこまで制約されてよいかは、全体の利益の「守るべき価値」と価値としての人権との比較衡量(その基準論を議論)をしているということですので、ある意味「政策的視点」が既に入り込んでいるといえます。ただ、法政策学では立法と法運用、そして法遵守の方に議論のウェイトが置くことになる、と予め理解しておいてください。

2 コンプライアンス
この言葉は嫌というほど目にすると思います。「法遵守」と訳されますが、もうちょっと広く、倫理・道徳、社会のルール・規範への適切な対応ぐらいの意味で捉えられているものです。法学部の学生ですから就職活動の面接とかで、この言葉が話題になることがあるかもしれません。この言葉は官公庁の公務員でも一般企業の社員でも政治家でも、あらゆるタイプの人々が係るものです。問われるのは、どうしたら法的に、あるいはルールの観点から適正な行動が担保されるのか、ということです。今話題の「官僚の接待」ですが、当然贈収賄の疑いも発生させますが、国家公務員倫理法や倫理規程への抵触の問題がまずは問われるでしょう。首相の息子がある放送会社に勤務していて、その息子が総務省の高級官僚を接待したことが週刊誌のスクープで明らかになり、録音テープで総務省の放送事業の許認可に係る会話がなされたことが暴露されましが、普通に考えて「ダメ」なことがなぜ「わかっている」はずの官僚がやってしまうのか。首相の顔が浮かんだのでしょうが、「バレなければやってしまえ、うまくいけば息子から話を聞いた首相からの覚えがよくなってもっと出世できるかもしれない。」、あるいは「息子からあることないこと首相に悪口でも吹き込まれたらたまらない。ここは自己防衛を。」という気持ちがあったのでしょうが(私は後者のような直感を持ちます)、でもだからといってそんなリスキーなことをするものなのでしょうか。それとも皆、高級官僚は多かれ少なかれそんな接待(昭和ならともかくこの令和の時代に)が当たり前になっているのでしょうか。あるいはここ数年、モラル感覚がおかしくなっているのでしょうか。そんなことも「法政策学」では学びたいと思います。ここでは郷原信郎弁護士の論考を参照してください。コンプライアンスの組織造りのエッセンスが書かれています。
郷原信郎「菅首相長男・『旧郵政省系官僚』違法接待の背景~「コンプライアンス顧問」の重要性(2021年2月19日)